ダン・スミス氏来店

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ダン・スミスさんがやって来た。ダンさんはアメリカのテレビ番組にも出演するジャーナリストで今回は弘前の取材で店に来訪した。気さくな人柄で津軽塗にも強い関心を示してくれて、どこにも無いここだけのもので伝統のあるものは、ハリウッド・スターが来ても欲しがると思うと言ってくれた。七子塗の名刺ケースを購入。皆に自慢すると言ってケースの出し入れの練習をして見せるお茶目な面ものぞかせていた。珈琲『北奥舎』も気に入ってくれて記念撮影。左からダンさん、真ん中が筆者で隣の美女は春名あみさんという女優。書籍に囲まれた『北奥舎』は祖父の書斎の雰囲気を思い出すというので、聞いてみると芥川賞作家の古山高麗雄だという。1冊も読んで無い作家なので、ピンと来なかったが、思い出した。山口瞳のエッセイにも出てくる作家だった。春名さんの母上は婦人公論に執筆していたが、自分は国語が苦手だという。それでもフェースブックで情報発信していて、今回はダンさんと一緒の弘前取材となったそうだ。

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歩道に苔が生えている。田中屋の一番町側の歩道だが、街灯の陰になっているせいか、ここだけ石のタイルの目地に沿って苔が繁茂している。毎朝、如雨露で水を撒いているので、私が育てたようなものかもしれない。苔は生育が遅く、苔むすというのはその状態が長く続いてきたことを指すが、一体いつ頃からこの状態だったのだろう。
苔は古くから森厳あるいは静寂の象徴として好まれ、侘び、寂びの日本情緒と深くかかわってきたという。
しかしここは仮にも弘前のメインストリートである土手町につながる車通りの多い道路である。何人の人が目に止めるているのだろう。

朝顔と姥

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よく見かける津軽塗の茶托だが、この形は「朝顔形」と言われる。ご覧になれば内側のカーブが朝顔の花のように例えられるのが納得いただけるだろうか。このように内側に張ったカーブをした長手盆があるが、これも「朝顔盆」と言われる。角張った大きなお盆が朝顔盆と言われても初めて聞いた方には違和感があるかもしれないが、作り手からする間違えようがない表現なのだ。
茶釜に姥口(うばぐち)という形がある。周囲が盛り上がり老婆のように口のすぼまった形の茶釜なのだが、最初にこの言葉を聞いた時は、世のおばあちゃんに失礼な命名じゃないかと思った。当たっているだけにきついと言おうか、大概、人を怒らせるのは本当のことを言ってしまった時だ。ただ自分も爺に近くなって来ると、まだ爺より姥を付けた命名の方がましなのかと思うようになった。

(12cm 5枚組 19,440円)

払暁の空襲

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朝5時、カラスの鳴き声がする。電線に12、3羽カラスが停まっている。外に出て、金づちで電柱を叩くと、一斉に飛び立ってゆく。路上には既に20発以上の糞の着弾があった。まだ乾いていないのでやられたばかりだ。これなら取りやすいので、如雨露とブラシで早朝の清掃作業だ。これでも今日は水際で撃退できた方だ。早起きは三文の得。
「ジサマ時間」という言葉を亡友のKさんから聞いたことがあった。若いころは休みの時は昼近くまで寝ていたのに、昔では考えられない時間に起きているのに気付かされる。
「池塘春草の夢未だ覚めざるに、階前の梧葉已に秋声」
偶成の漢詩を知ったのは高校の時だった。今から40年も前の話である。今朝も朝焼けがきれいだ。

郵便切手類販売者

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開店前に店頭の掃除をしていたら若い女性に尋ねられたことがあった。切手を買えないかという。もちろん早速、店の電気をつけて勝手口から入ってもらった。若いのに感心だと思い、良く手紙は書かれるのですかと聞いてしまった。ご高齢の先生に習っていて、ときどき丁寧で立派な手紙が来るので、その返信を出すのだそうだ。何の習い事かは知らないが、老先生に対するリスペクトの雰囲気が伝わって来た。よい師弟関係なのだろう。朝からいい話を聞いた。
田中屋は切手売りさばき人でもあるので、こういう交流もたまにある。

七子紋紗塗

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「ななこもんしゃぬり」と読む。ご覧になったことが恐らく無いだろうと思う。もしご存知であれば相当な津軽塗の通です。それくらい珍しくかつ難しい塗である。津軽塗の職人の中で唐塗をやる人が一番多い。七子塗を塗る人はかなり少なく、紋紗塗をできる人ははるかに少ない。その紋紗塗を七子でやるのだから技術の高度さと行程の難しさは想像してもらえるだろうか。
たまたま昨日Fさんから問い合わせがあった。山荘に招く客のために卓上盆を探しているという。手広く事業を展開している会社の会長で目の肥えた方であるが値段を聞いて驚いていた。5枚揃えたら車が買えると。無理も無いよね。しかし、現物としてあるのはこの八角盆限りで、これから注文をされても出来るかどうか難しい物だから。

(36.5×36.5cm 194,400円)

木組みの不思議

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田中屋2階展示室の透かし状の木組みである。網代(あじろ)に組まれているのだが、組まれているのは幅15ミリ厚さが18ミリの固い天然木である。竹や薄い板なら網代に組めるが18ミリの角柱が網代に組まれているのだ。1976年に本店を改装した時に、一人の老大工が細工したという。不思議に思って父が尋ねたそうだが、それを教えるにはお前が我の弟子にならねば教えられないと、はぐらかされたそうだ。実際につなぎ目もなければ切れ目もない。嘘だと思うなら実際に2階に上がって表と裏から確かめてほしい。
もうそれから40年近くになるが未だに謎は解けない。誰か分かる人がいたら教えてくれないかなぁ。知恵者を求む。

日伊コラボ

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先日、アウロラの日本総代理店の方が弘前までやってきた。珍しいというか懐かしいペンを持ってきた。多分10年以上前に製作されたものだと思う。アメリカにも輸出になったし銀座の和光や伊東屋にも陳列されたことがあるペンだ。まだ残っていたのかというのが実感だった。9本残っているがこれを田中屋で売ってくれないかというオファーであった。アウロラが許可した唯一の店だと言ってもいいという。大の付く歓迎である。代理店の方は旧知でかつ馬の合う方だったので、ペンと一緒に旧友再会といった雰囲気になり2次会まで夜を過ごした。
ちなみにアウロラはイタリアの万年筆のトップメーカーであり、ブランドメーカーでもある。金具の部分は純金メッキで塗は唐塗の小店オリジナル「なごり雪」である。また日本とイタリアのコラボレーションの万年筆が店頭を飾る。
(136mm×15.3mm 75,600円)

若葉

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渓谷に芽吹いた双葉のようにも見えるでしょう。実は田中屋の一番町側の側溝なのだ。店の建物の足元には石垣のように自然石を配してあり、歩道がロードヒーティングになって高くなったため、歩道との間が側溝のようになった。今朝、側溝の内側を掃いていて見つけた。健気にも植物はこんなところでも茎を伸ばし小さな葉を広げるのだ。何という草なのだろう。名前も知らないが、ちょっと引き抜く気にはなれない。如雨露で水をやった。

夜間爆撃

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早朝4時、カラスが電線に停まっている。外に出てみるとすでに数十発もの糞を爆撃された後だった。投下直後だとまだ乾いてなくて取り除きやすいので、如雨露とブラシを持ち出して清掃を始めた。4時を過ぎたばかりでまだ暗いが街灯の明かりを頼りに如雨露で水をかけブラシでこする。ところが糞は結構乾いていいる。ということは大分前にやられたということだ。純然たる夜間爆撃だった。払暁の攻撃になら対処できるが、真夜中の夜間爆撃ときてはどうしようもない。
そういえば第二次大戦の末期、B29に対して日本の迎撃機は歯が立たなかったなぁ。